──サンタクロースがいない って事を知ったのはいつだっけな  結構本気に信じてた俺は相当ショックを受けた    まぁ、そんな事はどうでもいいんだ  これは、聖なる夜の物語 いつかのMerryChristmas  1項   -雪の降る街-   「ぁー 寒い・・・」     最近バイトに入り浸ってる俺。   だってさ、クリスマス目前にして・・・       つい1週間前に彼女と別れたんだ。   ・・・なんか後味悪いな...  あいつ、泣いてたよな・・    最近は、こんな事考えてるかそれか、バイトしてるかのどっちかだ。   ・・・今年もクリスマスはバイトか・・・  もうあいつには男いるみたいだし・・  ぁー・・・ 俺も彼女ほしいよなぁ・・ 今日は12月23日。  明日はイヴなんだ。 もうこれから運命的に誰かと出会ってお付き合いなんてありえない。   でも、そうだな・・・  例えばだけども、サンタにお願いしてみるとすれば・・・   クリスマス・・・ だけじゃない、これからずっと一緒にいてくれる人を・・・   なんて、考えるだけ馬鹿らしいよな。  そんな時、ふと外を見ると 雪が舞ってた       「へぇ・・・ 今年は珍しく、ホワイトクリスマス・・か...」   バイトも終わったので、家に帰ろうと外に出る・・  (もう、クリスマスなんて忘れよう・・)    そう思って外に出ると、そこにあいつが立ってた・・ 2項 -Let's gets to your love-   「よ、よぉ・・」    やべ・・ どんな顔すればいんだよ・・  俺は、目も合わせられずに立ち去ろうとした・・・       「待って!」  黙って立ち止まる・・・。         「あの・・ね?」   なんだかんだ言って、振ったのは俺なんだ...  気まずいことこの上ない・・。   「な、なんだよ・・」   それに、お前には彼氏いんだろ? もう俺なんか・・・       「あの・・ この前の事は、忘れて また私と・・・」   1週間前のあの日、こいつと喧嘩したんだ・・  それで、別れよう ってなったわけなんだけど・・   「彼氏はどうしたんだよ?」        「・・・え?」   「とぼけんなよ、一緒にいるとこ見てんだから・・・」      でも、あいつはマジできょとん顔だ。          「ぁ、あぁ! あれね? お兄ちゃんなの!」  ・・・     「で、なんで今更・・?」      なんでこんな話聞いてんだよ・・・  お人好しすぎ・・・ いや、俺も心のどこかで、あの頃に戻りたい って思ってるのかもな・・。          「いろいろ、考えたんだけどね・・・ やっぱり・・。」         「やっぱり、私には亮しか考えらんない!」  ・・・そんな事言われても・・、俺は・・。   俺は返事もせずに歩き出した・・      「・・・待ってよぉ・・」   声が震えてる・・               「亮... 私、返事待ってるから・・・」   その声だけが、真冬の夜空に響く・・     ・・・俺、最低だ・・。  返事なんかもうとっくに決まってんのに・・。    何迷ってんだよ・・・ 3項  -やさしくキスをして-  布団に入ったはいいが、寝れない・・・ 結局寝れないまま朝を向かえた・・。   まじ、俺らしくない・・。       そう思って    俺は家を出た    外は一面の銀世界  こんな積もったのは久しぶりな気がする あいつの・・・ 明里の家はちょっと歩いた所にある。 いつも待ち合わせしてた公園を通って行こうと、俺は少し遠回りして明里の家に向かう・・・   「ぁ・・・ 明里・・・?」     「亮なら・・・ ここに来ると思って。」  その公園には明里の姿があった。   「昨日は・・ ごめんな。 返事・・。」          「ううん。私こそ・・・。 虫のいいことばっかり言ってるし・・。 怒ってない・・?」  普段は変な意地とか張る俺だけど、今回はそういうの無しだ    いや、クリスマスだから とかそんな理由じゃないけど  ただ、純粋に    明里と、一緒にいたい って思っただけ。  「明里、この間の事は忘れらんないよ」        伝えないといけない事だってたくさんあるんだ      明里の目には涙がにじんでた、でも俺は気にせず話続ける・・。                   「・・・ぅん...」    なんか、泣かせてばっかだよな・・。   「でも、前みたいな事があっても・・・ 俺は明里と一緒にいたいんだ。」     明里は、また泣きだす・・。  「ごめんな、あんな事で怒って・・。」    俺は、彼女の唇にそっとキスをした・・・   「な? これで 仲直り・・。」       俺の腕の中でひとしきり泣いた後、明里は俺にこう言った・・・。           「亮・・・?」     「──ん?」                 「呼んでみただけ♪」   目に涙を浮かべながら、無理に「えへへ」って笑う。   ──ずっと、一緒にいられたら・・。 4項-いつかのメリークリスマス-  それから、何年も経って     俺は明里にこう言う。        「サンタにお願いしたい物、ある?」              「ど、どうしたのよ?急に・・。」   「いいじゃん、あるなら教えて。」    お互い、もう社会人になってた。  俺は24歳、明里は23歳だったかな?    その時、明里はこう言った。            「──じゃぁ・・」      『じゃぁ、亮がほしいな。』  ──愛がなくても生きていける・・・?       俺はそうは思わない。   人を愛して、     人に愛されるから  そこに、光が見えるんじゃないかな・・・ 知り合って 何年も経って   俺たちはやっと結婚する事を決めた  いつかのクリスマスの夜に誓ったように     俺たちは、これからもずっと一緒だ・・。